関西学院大学 総合政策学部  鎌田研究室 

 

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文章作成スキルアップセミナー 2002.8.13 13:00〜18:00

会場:関西学院大学三田キャンパス一号館3F大学院共同研究室

講師:吉良敦岐 読売新聞社 99年卒

 

【セミナーのねらい】

 世の中で「子どもの文章力が落ちている」と言われてかなりの年月が過ぎていま す。義務教育では、読書感想文や夏休みの作文を勧めて子どもの文章力を養おうと努 めてきました。しかし、現場では、言葉の運びや論理の展開を教えるに及ばず、単に AやらBやら評価をつけられています。書き方のアドバイスもせずに、作文を突き返 すだけです。教育の世界において「文章を書く教育」は、相変わらず見捨てられたま まになっているのが現状です。

 大学教育についても同じことがいえます。学生の論文の中には、字数を埋めるだけ で精一杯で、「他人が読むことを前提にして、論文を書いていない」という根本的な 欠陥が多々見受けられます。論理的な思考力とか書き込み不足とか高尚なレベルでは なく、「誰にでも分かる文章を書く」という基礎的なレベルの問題です。大学教育で も、議論(or口論)教育というのはあるものの、「文章を書く教育」はまったくあり ません。

 そこで、今回の特別セミナーは、まず第一に「最低限のマナー」を学ぶことを主眼 に置きました。また、他人の論文を読むことで、自分の論文が読まれていることを気 付いてもらいのがねらいです。

 

【主な実施要領 】

(1) 基本的なマナーについて

 

 ◆長い文章を短く区切る

 原稿用紙の縦の字数は20字に決まっているのは、一文二十字ぐらいが読みやすいか ら。「であり、……だからである」「だが、〜」という次々と文章をつなぐ書き方を すると、自然と文章は長くなる。文章は短く切っていった方がよい。

 

(例)私には暴言としか聞こえなかったが、友人にはそんな意識は毛頭無い。抗議し たものの、彼の考えは変わらず、話は平行線をたどって終わってしまった。

【コメント】このように「〜(逆接)、〜」という文章が続くとバランスが悪くなる ので注意

  ・私は〜したが、彼は〜だった。

 ・そこで私は〜と思ったけれど、実際は〜だった。

 ・事実は〜かもしれないが、〜かもしれない。

などが考えられる。

 

 ◆できるだけ簡潔に書く

 冗漫な文章は整えるには、「どうすれば文章が短くなるか」を考えて書くのがコ ツ。「○千字のレポートを書け」と言われても、実際は○字以上のレポートを書き、 最終的に○字に絞るのが良い。文章は簡潔であればあるほど、読み手には伝わりやす い。

(例)現在の多くの日本にとって、普通である人というのは「健常である日本国籍の 人」のことであろう。

【修正例】現在の多くの日本にとって、普通の人は「健常な日本国籍の人」のこと だ。

 

 ◆指示語を明確にする

 「この」「そこ」「あれ」などの指示語はできるだけ使わない。具体的な名詞に置 き換えられるケースは、どんどん置き換える。文章は指示語を使えば使うほど読みに くくなる。

(例)人がこんな風に過去を思い出すとき、その記憶はその人の中では既に一つの 「時代」として、もはやそれ以前からもそれ以後からも独立したものとして存在して いるのかもしれない。

【コメント】抽象的な事柄を書く場合、実際に見たり聞いたりした一シーンを取り上 げれば、具体的かつ明確に書くことができる。

 

 ◆具体的に書く

 文中に出てくる抽象的な事案や、世間に警句のごとく流布されている事案を、書い ている本人が理解できているか否かは具体的な例があるかないかで見えてくる。

 

(例)私達の日本文化を理解するのは難しい。昔から学者達が指摘してきたように、私達 の文化には基盤となる価値観がないからである。日本にはヨーロッパのキリスト教、 中東のイスラム教などにあたるものがない。日本の文化は加藤周一が表現しているよ うに「雑種文化」である。明治維新より海外から「輸入」された思想が混在してい て、それらが複雑にからみ合い、私達の考え方に影響を与えている

【コメント】

「雑種だ」→「どのような雑種なのか(雑種であることの問題点は)」

「複雑に」→「その複雑さを説明するのが書く作業ではないか」

「影響を与えている」→「どのように」

 

(2) グループワークなど

 「学術的自己紹介」などの論文を、ゼミ生同士で交換して、グループごとに論文を 読み比べる。

また、同時に、鎌田ゼミでよく使われる言葉の解説文も作ってもらう。

お互いの論文や解説文の中で、「リズムの悪いところ」「意味がわからないところ」 「具体的に説明してほしいところ」をチェック。

最後に、チェックされた項目を参考 にして、各自の論文をリライトする。

 

 

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